痩せる猫の病気


痩せると言うとダイエットという良いイメージを持つ人もいるかもしれません。

猫でも肥満症や過体重の猫が食事制限をして痩せるのであれば良いのですが、それ以外の理由で痩せるのであれば、何か健康上の問題があると考えられます。

特に成長期の猫に体重の減少が見られた場合は、大きな問題を含んでいます。



成長期の猫が痩せるのは危険

猫は約100gで生まれ、その後に1日、10~20g増えていきます。

仮に1日15g増えるとすると、1ヵ月で約550g、2ヶ月で約1Kg、4ヶ月で約2Kgとなります。

4ヶ月で2Kg以上の体重があれば、オス・メスともに健康に育った証拠です。

成長は1年続きます。

しかし、成長期に体重が増えない、逆に減ってしまうのは問題です。

栄養が不足しているキャットフードを成長期に与えていると体重は増えません。

成長期の猫に必要な栄養は高く、特に良質な動物性タンパク質を多く含んだ食事が必要です。

カロリーを脂肪や良質でないタンパク質、植物性タンパク質などで添加物の入ったキャットフードでは成長が困難です。

また確かな品質のキャットフードを食べているにもかかわらず、体重の減少が認められるなら、猫自身に重い病状がある可能性があります。



急激な体重減少

急激な体重減少は、脱水を起こしている可能性がとても高いです。

もし1日で100g体重が落ちれば、100ccの水分が脱水していることになります。

老齢期の慢性腎不全で、多飲多尿をしている猫が、一日水を飲まないと痩せたように見えます。



脱水

脱水による体重減少は急速に起こります。

適正体重の3%を超えれば重大な脱水と考えなければいけません。

腎不全、多渇多尿のある場合は、直ちに治療が必要になります。

脱水を起こしている猫の口腔内の粘膜は乾いています。

皮膚がゴワゴワに弾力がなくなり、柔らかい毛が水分の抜けた毛に変わり、ツヤや潤いがなくなります。。

目が落ち窪んだようになり、顔がとんがった印象に変わります


『脱水の見つけ方』
首のあたりの皮膚を親指と人差し指で軽くつまみ離します。

正常では皮膚が戻ります。

脱水していると、しばらくつまんだ形のままになっています。


ゆっくり進む体重の減少は、痩せていることが非常にわかりにくいです。

毎日一緒に暮らしていると、日々のわずかな変化には気づきにくいものです。

そこで猫の体重を定期的に測る習慣をつけておきましょう。

年に1回の定期的なワクチン接種時には、病院で測り記録しておきましょう。

自宅でも1ヵ月に1回くらいはわかるようにしましょう。

痩せてしまうのは、体が十分な栄養を吸収できない状態であることが言えます。

内分泌疾患、ホルモンの異常やがん、腫瘍がある場合、また妊娠中の母猫にも認められます。

『治療』
水分の不足を補うための補益。

水分補給



腎不全

食欲不振、多飲多尿が起こることにより、体重が減少するのが腎不全の特徴です。

腎不全の状態を血液検査、尿検査で調べます。

腎不全は腎臓のほぼ75%のネフロンが機能していない状態にあります。

血液検査では血中尿素窒素、血清クレアチニンの値を腎機能の指標とするのが一般的です。

加えて血清リン、血清カルシウムを行います。

高リン酸は、ほぼ85%のネフロンが機能しなくなったときに現れます。


『尿検査』
比重の測定で、腎臓の濃縮能を評価します。

蛋白尿は糸球体腎炎を起こしています。

血糖値が正常な猫の尿糖出現は、腎性糖尿を示します。


『観察ポイント』
飲料水と排尿量
猫の1日の飲む量を測り具体的に記録します。

猫の水分必要量を把握します。

もし急に水が足りなくなったら、飲水量が増えたことに気づきます。

排尿はおしっこの砂の固まりが増えていることや、1つの固まりの大きさがいつもより大きくなったら、尿量の増加になります。

トイレへ行く頻度が多くなり、飼い主はトイレ掃除の必要が増えたことに気づきます。

尿毒症になると猫は尿に似た独自の口臭を発するようになります。


『腎不全の急性と慢性』

急性腎不全を起こす原因
・腎毒性を持つ物質との接触
・エチレングリコール
・アミノグリコシド系抗生物質
・重金属など
・尿道閉鎖による尿毒症
・急性腎盂腎炎
・食欲の低下と数週間にわたり体重減少
・細菌尿
・血尿蛋白尿

慢性腎不全
高齢猫によく見られる病気です。



甲状腺機能亢進症

元気でよく食べていても、痩せていることが特徴です。

甲状腺ホルモンの定量でT4チロキシン値は上昇しています。

内分泌疾患である甲状腺機能亢進症はチロキシンが過剰に分泌される状態です。

甲状腺は二葉からなります。

気管輪に接しているのですが、正常な猫では触診ができません。

甲状腺機能亢進症の猫では甲状腺の肥大により、甲状腺を触診できる場合があります。

10歳以上の高齢猫に次の症状が出てきます。

『症状』
・高齢猫なのに活発に行く
・高齢猫なのに鳴き声が大きくなってきた。
・よく食べているのに痩せてきている。
・下痢をしている。
・多飲多尿が見られる。

甲状腺機能亢進症の猫には心悸亢進、高血圧が認められます。

『治療』
甲状腺ホルモンの合成阻害薬を投与します。



糖尿病

糖尿病はβ細胞が進行性に壊されてしまうため、血糖感知してインスリンの分泌をすることができなくなる状態です。


『二次性糖尿病』
二次性糖尿病は副腎皮質機能亢進症やグルココルチコイドなどの要因によって発症します。


『単独性糖尿病糖尿病』
単独性糖尿病では尿酸があり、血液中のグルコース濃度が腎尿細管の再吸収能力を超えた場合に起こります。

浸透圧利尿によって尿量が増加します。

排尿が増加することで、血液の量が減って濃度が濃くなるので水が必要となり、喉が渇き続ける状態でいます。

この多尿タ渇が糖尿の主な症状です。

また、多食もよく見られますが、炭水化物の代謝障害末梢組織の脂肪酸酸化の状態で体重が減少して痩せていきます。


『尿検査』
尿糖、ケトン尿。


『血液検査』
血中グルコース濃度200~300mg



腫瘍

猫は10歳を過ぎると癌の発生率が高くなります。

猫の癌は体重減少、食欲不振、沈鬱、元気の消失、下痢、嘔吐、体から見える腫瘍など猫の様子に何らかの異常が認められます。

癌のできる部位も、症状も様々ですが、高齢猫で今までと違う様子を感じたら、病院へ行き診断を受けてください。

猫の癌は進行が早く、悪性の場合が多く、早期の発見がとても大切になります。

猫が腫瘍や癌に侵されると、栄養失調を起こします。

口腔や食道にできる癌では、物理的に食事をとることが不可能になります。

消化管にできる癌では、消化不良、下痢、消化吸収が十分にできず、食べたものが栄養になりません。

つまり癌になると栄養失調により体の筋肉と脂肪も落ち、病的な痩せ方をします。

猫によく見られる腫瘍として、メラノーマ、扁平上皮癌、乳腺腫瘍、肺がん、リンパ肉腫などがあります。


『化学療法(抗がん剤治療)の副作用』
抗がん剤は腫瘍の治療するのですが、その副作用は猫に食欲不振を招き、体重減少を起こします。


『血液毒性』
骨髄抑制による末梢血の好中球減少と血小板減少を起こします。

好中球減少は、細菌感染を容易にし、敗血症を引き起こします。

発熱、食欲不振、悪心が起こります。


『消化管の毒性』
悪心、食欲不振、下痢を引き起こします。

抗がん剤の治療中に副作用が出た場合は、薬剤の投与を中止して、支持療法を行います。

ウィルスの感染による発熱は、食欲不振を招き同時に体力を消耗させます。

ウィルスによる免疫抑制が起こると、食欲不振に続く栄養不良を起こします。

成長期の猫がウィルスに感染した場合、発熱による食欲不振で体重が増えず成長しません。

それどころか減少してしまうこともあり、この状態は非常に危険です。



口腔内疾患

口腔内の痛みに耐えられず、食欲不振を起こします。

しかし猫は口が痛いと言いえません。

そこで飼い主は猫の行動、様子から口の痛みがあると気付いてあげなくてはいけません。

食欲不振が徐々に出てくると、ご飯の前で考え込む姿を見せます。

いつものように遊ばなくなったり、機嫌が悪くなります。

口が痛いため毛づくろいにができなくなり、抜け落ちた毛が絡まってボサボサになります。

また、毛づくろいする場合、口臭と同じ匂いが体に付いて、体全体が臭くなります。

飼い主は、よく舐める猫の口臭が気になるようになります。

顎をがくがくさせるのも特徴です。

前足で口周りを何度も引っかいて、くっついたものを取ろうとするような行動をします。

また同時に頭や首を振ったりするような行動も見られます。

痛みが限界に達すると、食事はもちろん、水も飲めなくなります。

キャットフードに見向きもしなくなり、痩せて餓死していきます。


『口腔内の検査』
唇をめくって歯と歯肉の様子を見ます。

猫の歯は上下で30分本あります。

健康な歯は固いエナメル質に覆われ、白く歯肉はピンク色です。
(色素沈着で黒っぽい猫もいます)


『歯垢』
歯の表面に黄色く見える歯垢が蓄積されていきます。

口腔内細菌を主体に形成されています。


『歯石』
歯石は歯垢に蓄積した細菌の固まりで、黄色から茶色に近い色です。

歯石は歯肉を後退させ、歯の根元を露わにし、歯肉の炎症を助長します。



歯肉の炎症

歯に接した歯肉が赤くなってきます。

進行すると腫れていきます。

触ると出血する状態から、自然に出血するようになります。

歯肉炎が進行すれば歯周ポケットができるため、細菌やキャットフードの残骸がポケットに入り込み、歯肉炎を更に悪化させます

『治療』
できることなら歯肉炎が起こる前に歯石の除去を行うのが良いです。

また歯肉炎がある場合は、なるべく早いうちに歯石の除去を行うことができれば、歯を守ることができます。



外歯根吸収

歯のセメント質、エナメル質の接合部が歯骨細胞により吸収されます。

こうして歯根部が侵食されていきます。

露出された牙は敏感になり、水がしみるようになります。

痛みが酷く水も飲めず、食欲不振となり、脱水症状を起こします。

『治療』
抜歯を行います。



猫カリシウィルス感染

舌と口、口蓋に潰瘍性口内炎を形成します。

血が混じった生臭いヨダレを出し、非常に激しい痛みで食欲不振になります。


『口腔の外傷』
事故で下顎の骨が折れると食べることができません。

『治療』
外科手術。



口腔の腫瘍

好酸球性肉芽種は潰瘍が形成されが起こります。

扁平上皮がんは舌下分、歯肉にでき治療は困難です。