歩くのが辛い猫の病気


足を骨折や関節を痛めてしまった場合、その患部をかばうように歩くのですが、猫は1本の足が怪我しても3本の足でバランスを取りながら歩くので、どの足が痛いのかわからないことがあります。

指先が内側に丸くなったようになる、ナックリングしていれば神経の麻痺が起こっていますので、正常な方向はできません。



外傷によるショック症状

事故や高所などから外傷を受け、重度の損傷を負った場合、命に関わってきます。

激しい出血が起きれば急激な血圧の低下が起こり、ショック症状に陥ることがあります。

口腔粘膜は白くなり、脈拍が早くなります。

ショック症状の場合は、緊急に処置を行う必要があります。

全身症状の急激な悪化と共に、悲鳴に伴う後股の麻痺は、命に関わる重症な事態です。

被毛の長い猫が、指先にある肉球の毛が伸びてしまうことで、足を滑らすことがあります。

活発に走り回る子猫は、絨毯に爪を引っかけてしまうことが度々あります。

また、遊んでいるときに、腕を何かに巻きつけてしまい、パニックになって自分の肩を痛めてしまうことがあります。

歩行が困難な状態をする原因は多岐に渡ります。



歩行以外の原因チェック

・歩行が困難になったのは突然起きたのか
・慢性的に変化が起こってきていたのか
・全身の症状が悪くなっている
・元気がない
・食欲がない
・ショック症状がある
・沈鬱がある
・食べているものに特徴がある
・外出しない
・喧嘩してきた
・痩せてきている

これらの症状が以下の原因で起きてきます。



骨折

手足の骨折や骨盤骨折、もしくは脊髄の損傷を起こしている。

整復手術、脊髄の損傷の治療はできません。



外傷

怪我、火傷をおうことで、筋肉の損傷、皮膚の障害で痛みがあります。



動脈血栓症

急性の後股不全麻痺に伴う激痛症状が特徴で、突然の血流障害があります。

猫は悲鳴をあげたり、吐き気が見られる時もあります。

猫を診察すると、大腿動脈拍動の減少が消失、足の冷感、血液を採取できない、感覚喪失が見られます。



ビタミンB1欠乏症

ビタミンB1は水溶性ビタミンです。

魚も主食にした猫に高い確率で見られる病気です。

運動失調が現れ、歩行運動失調、旋回運動の症状があります。

『治療』
ビタミンB1を投与します。



低カリウム結晶

低カリウム結晶の猫は頭を上げていることができず、うなだれたように顎が下がってしまいます。

ヨロヨロとふらつきのある歩行が見られます。

猫の腎機能障害では、尿中にカリウム排泄量が増加し、血中のカリウム量が減少してしまいます。

『治療』
カリウムを投与します。



被毛の長い猫

肉球の間に毛が生えると肉球が毛で覆われてしまい、猫毛のスリッパを履いてるのと同じようになります。

走ったり飛んだりすることで滑ってしまい、足を痛めることがあります。

足を痛めた経験から運動そのものを嫌がるようになってしまいます。

『予防』
肉球の間の毛を短く切り、肉球が地面にきちんとつくような状態を常に手入れをすることです。



肺ガン

肺ガンの指に転移して、爪の周囲も炎症を起こして痛みを伴う病変があります。



指の癌

指に腺ガンや軟部組織肉腫に侵されると、壊死、潰瘍が形成され痛みを引き起こします。



骨肉腫

後股、頭蓋骨に起こりやすい肉腫です。

老齢猫に発生が多く報告されています。

悪化が進むと骨折を起こすことがあります。

『治療』
外科手術を行います。



肥大性骨症

骨膜の増殖を起こり、肥厚股、腫れた股が見られます。

『治療』
外科手術を行います。



肉球に爪が食い込む

老齢猫は爪が肉球に刺さってしまうことがあります。

その痛みから歩行が困難になります。

『予防』
老齢猫は自分の爪の手入れができなくなってきますので、飼い主が爪を定期的に手入れをしてあげてください。



爪を怪我する

ループ状の絨毯に爪を引っかけてしまい、爪を折ることがあります。

出血も起こりますが、神経障害により、猫は痛みで足を地面になるべくつけないように歩きます。



中枢神経障害

中枢の運動神経に障害が起こると運動機能が障害されます。



内耳炎

内耳の平衡感覚を司る器官が侵されると、運動障害や回転運動が起こります。



軟骨の形成不全性

耳折れとも呼ばれるスコティッシュフィールドは、遺伝的な軟骨形成不全により、耳が正常な状態を留めることができません。

人間でも発生するこの病気は残念ながら治療方法はありません

軟骨の形成不全は耳だけに限らず、四肢の軟骨、気管軟骨にもその障害が及びます。

軟骨は骨と骨との間のクッションのような役目をしますが、軟骨形成不全ではそのクッションが役に立ちません。

猫は痛みから歩くことを避けるようになり、歩く時はまるでロボットのようなぎこちない歩き方をします。



動かない猫の病気


ウィルス・細菌感染

ウィルスや細菌感染すると、猫は熱が出て体を丸くして動かなくなります。

動かないと言う行動は、体力の温存と回復するのを持つ猫の治癒行動と言えます。



貧血

貧血がある場合も猫はあまり動きません。

貧血は赤血球が正常より少ない状態で起きます。

赤血球の役割は、酸素を体に運ぶと言う重要な働きがあります。

ですので貧血になると、体に運ばれる酸素の量が足りなくなります。

生きる上で大切な脳や内臓には酸素を送り続けなければなりません。

運動するにも筋肉に十分な酸素の供給が必要です。

しかし、貧血している猫は必要以上の運動はしません。

猫は体力を消費しないよう本能で動きを止め、なるべく酸素を使わないようしています。

また、動くと痛い腹痛など内臓痛がある時も、猫は動かずじっとしています。

猫同士の喧嘩による、皮下膿瘍がある猫も、動かずじっとしています。



脱水

脱水している猫も動きません。

脱水は特に老齢の慢性腎不全になっている猫に注意が必要です。

慢性腎不全以外にも脱水する原因は、嘔吐や下痢など様々あります。

いずれにせよ、脱水に対する治療をすると、脱水が補正されたその直後から動くようになります。



心不全

心不全の猫も動きが悪くなります。

動機、息切れの症状を明確に見ることができませんが、心不全の治療を始めると、動かなかった猫が動くようになります。

慢性腎不全や癌、慢性胃炎などの病気の猫が今まで動いていたのに動けない状態になったとき病気の悪化と捉えます。

病気の悪化で動かなくなった猫は、死の目前と言うことになります。



病気でなくても動かない猫

病気でなくても動かない猫がいます。

病院の診察台で体を硬くして動かない猫もいます。

引っ越し先の新しい部屋で、ベッドの下に潜って1日中動かない猫もいます。

来客があると、部屋の角に隠れて何時間でも動かない猫も珍しくありません。

猫の本能で、警戒心は動かないことで猫自身を守っているのです。



動かない猫の観察ポイント

・部屋の角でうずくまっている
・動きに素早さがない
・寝てばかりいる
・ジャンプをするのにためらう
・体を触ることを嫌がる
・体を触るとゴワゴワした感じになっている
・トイレに行くことができない

以上の行為が確認できたら、直ちに獣医師に猫の状態を話して診断してください。



若い猫でおもちゃで遊ばせていたところ、2~3分もしない内に横になって、口を開けて呼吸する猫には心疾患の疑いがあります。

これは動かないと言うより、動けないと言う方が正しいかもしれません。

猫の心疾患は運動に支障が出たことで発見されます。

本来猫は自分の背の高さの何倍もの距離をジャンプできる能力があります。

健康な猫は明け方や夜に猛スピードで部屋中を駆け回り、登れるところはどこへでも駆け上がるような、猫の狂気の30分と呼ばれる運動します。

これは健康であれば10歳を過ぎた高齢猫も、15歳の猫にも見られます。

若い猫で運動があまり見られない場合は、心臓の疾患を疑う必要があります。



貧血

貧血のある猫は動かなくなります。

貧血が何度も起きる慢性的なものであれば、食欲はあるけれどもあまり駆け回らない、寝てばかりいるようになります。

猫の歯肉は本来ピンク色ですが、白っぽくなっていたら貧血は相当進んでいると見てください。

貧血の具合を客観的に見る上で、血液検査はとても有効です。

血液検査において、貧血の度合いをヘマトクリット値で表すことができます。

ヘマトクリット値は血液全体に埋める赤血球の量5%で表すものです。

正常値は30%以上です。

それ以下は貧血と言うことになります。

ヘマトクリット値が10%を下回れば、動く事はもちろん食べることもできなくなります。

急性の貧血は事故による出血やがん組織の大きな血管の破れ等によって急激に起こる状態です。

外科手術による血管の結合が不完全な場合にも貧血が起こることがあります。

生き物は血がなくなれば生きることができません。

急性の貧血は緊急な事態ですので、速やかな対応処置が必要になります。



貧血を起こす原因

『出血』
事故などによる外傷や裂傷により大量の出血がある場合、ショック症状を起こし死に至ることもあります。

内臓の腫瘍組織の血管が破れ、急激な出血が腹腔内に起こると、猫はショック症状を引き起こします。

『治療』
出血部位を止めること。

点滴、輸血を行います。



慢性的な貧血

慢性腎不全の猫は、腎機能の低下から造血ホルモンであるエリスロポエチンの生産がだんだんと悪くなっていきます。

エリスロポエチンは骨髄に作用して、赤血球の形成を命令するホルモンです。

このホルモンが少なくなると貧血が起きてしまいます。

『治療』
エリスロポエチンの投与。

ヘモバルトネラ感染では、赤血球に寄生しているヘモバルトネラが赤血球を壊し凍結させます。
同時に黄疸の症状が出ます。

『診断と治療』
赤血球に寄生しているヘモバルトネラを確認します。

内服薬により治療をします。



赤血球を作る場所が壊れてしまった場合

骨髄の造血機能が侵されると、血液が作れなくなります。

特に問題となる原因に、猫白血病ウィルス感染があります。

猫白血病ウィルスが骨髄に及ぶと、骨髄は新しい血液を作ることができなくなり、非再生性貧血を起こします。

抗生物質のクロラムフェニコールは、骨髄の造血を抑制して貧血を起こさせます。



化学物質が赤血球を破壊する場合

人間の解熱鎮痛剤薬は赤血球に損傷を起こします。

メトヘモグロビン血症と溶血性貧血を起こします。

ですので、人の風邪薬を猫に少量でも飲ませては絶対にいけません。

プロピレングリコールは猫に貧血起こします。



心疾患

心臓は体に血液を送るポンプの役割を持っています。

心臓の働きは体に十分な血液を休みなく送り出すことです。

しかし、心臓に疾患があれば、体に十分な血液を送り出すことができません。
猫の運動量は低下します。



左心室不全

心拍出量の低下が見られ、運動量が低下します。

左心室不全は、心拍出量の低下により運動時の疲れ、湿疹を起こします。

肺静脈高血圧は呼吸促迫、呼吸速拍、肺水腫を引き起こします。